速読能力の構成要素(1)─スピード

 速読能力の第1の要素、これはスピードです。
■読書スピードの定義

 速読能力の構成要素の1つで、
 単位時間あたりに、どの程度の文字数を読み進むことができるかという単純な速度的構成要素。
■Speed Readingの定義

 アメリカで実践されている速読もSpeed Readingと呼ばれておりますが、アメリカの速読は従来の読書スピードを数倍程度しか加速できないものであり、その理論的背景も、このソフトSpeed Readingとは全く異なっています。
 文章中で、「Speed Reading」と出てきたときは、すべてこのソフトのSpeed Readingのことを指し、アメリカで行われているSpeed Readingとは関係ありませんので混乱されないようにご注意ください。

 このスピードという要素、ソフトのタイトルからしてSpeed Readingというくらいですから、速読における基本的な、かつ最初に問題となってくるパラメータになります。

 ただ、読むスピードが速いのみで、理解が伴っていかなければ意味がないため、Speed Readingでは速さは速読能力の一要素として位置づけており、他の構成要素も加味して、総合的な速読能力を判断していきます。

スピードを高速化する対策

速読は「飛ばし読み」ではない

 「速読」という言葉を聞くと、単なる「飛ばし読み」であると思っていらっしゃる方が多いように思われます。つまり、何らかのテクニックを使って、文章上の重要な部分のみをピックアップして読んでいくというような読み方であると思われているようです。

 確かに、そのような読み方をもって速読であると教授されている方もいらっしゃいます。(特に欧米式の速読法はそのようなテクニックを養成することに終始しています)

 しかし、Speed Readingで行う速読は、「速読する前と同じ読書の質を維持しつつ、読む時間が以前にくらべて相対的に減少していく」という速読をすることを意味します。つまり、飛ばして読むわけではなく、対象となる文章のすべての言葉に目を通します。

 このような読み方は、単に情報の取捨選択力を鍛えるというような単なる小手先のテクニックではどうにもなりません。

 読書における知覚の状態を根本からみつめ、「見る」という行為自体を従来とは全く違った行為へ移行させていくことによってはじめて実現します。

速読が可能となる理由

 では、どのようにしてそのような速読が可能となるのでしょうか?

 その方法を知るには、まず「読む」という行為によって、われわれの感覚器官がどのように働いているのかを知る必要があります。

 そこでまず、一般的に行われている読書において(速読ではない読み方で)、どのような知的活動が行われているかをみてみましょう。

 読書時にどのような知的活動が行われているかに関する研究は、ジャバールというフランス人によって1879年頃にはじまったとされています。

 当時、読書という作業は、一文字一文字を順番に目で追って読んでいくものだと考えられていましたが、ジャバールが視線の動きを調べることに成功した結果、革新的な事実が明らかになりました。

 それは、

「読書という作業は一文字一文字順番に文字を追っていくのではなく、何文字かをブロックのようにまとめてとらえる、そこで一定時間停留した後、次の何文字かのブロックをまとめてとらえる」

 という作業の連続であることがわかったのです。

 要約しますと、読書という作業は以下の2つの作業の連続であることがわかります。

  一定範囲の文字へ視線を向ける(空間的要素)
  そこで一定時間停留する(時間的要素)

 そして、読書スピードが速い人ほど、一度に見ている文字の範囲が広く、視点を停留している時間が短く、読書スピードが遅いひとほど、一度に見ている文字の範囲が狭く、視点を停留している時間が長い という事実もその後他の人の研究で明らかになっています。

 ということは、速く読めるようになるためには、

 1 一回に見れる文字の範囲を広くする(空間的要素の拡大)
 2 視点の停留時間を短縮する(時間的要素の短縮)

 をすればよいことになります。

 1の空間的構成要素は、後に述べる認識視野を拡大することにより実現しますので、ここでは時間的側面に絞ってお話いたします。

 Speed Readingではこの内の時間的側面の高速化のために、我々に身に付いている音読の習慣からの脱却を行うことを試みます。

音読の習慣からの脱却

視点停留時間を長くする足かせとなっているものは?

 読書という知的作業が、視線を移動して →一時止まって →また視線を移動して →一時止まって… の繰り返しであることは先にも述べましたが、速読をするにはこの一時停止の時間(視点停留時間)も短縮して視線次へ次へと運ぶ必要があります。

 しかし、ここにこの時間を長くしてしまう足かせとなっているものがあります。それが「音読」です。つまり、一文字一文字を言葉にして読んでしまうという習慣のことです。

 我々は小さいときに、国語の授業において教科書を声に出して読むということを教えられ今に至っています。その習慣のおかげでどんな文章を読むときにも言葉に一旦変換してから理解するという作業を無意識のうちに行っています。

 この音読という習慣を続けている限りは、必ずその音の速度からくる制約を受けることになります。つまり、この音読を続けている限りは、その人の読書スピードの上限イコール音読で読めるスピードの上限となります。

 しかし、音読で読めるスピードの上限はどんなにがんばっても1分間に2000字程度でしょうから、それよりも速く読むには、どうしてもこの音読の習慣から抜け出す必要があるのです。

音読を離れて光読を行う

 ここに、読書という作業は大局的にみれば「視覚を使った」「情報入力」という2点に集約されることから、一旦読んだ文字情報を音声化する必要は、必ずしもないといえます。

 よってこの「音読」習慣を超えて、視覚のみを利用して、音を通過させずに、光の情報のみをダイレクトに移入して読んでいくという読み方ができれば、読書スピード(時間的側面)は大幅にアップします。

 私はこれを 「光読」と呼ぶことにしています。音よりも光の方がスピードが早いのはご存じの通りですが、読書における情報入力の段階でも、音読より、光読の方が圧倒的に速いといえます。

 そのために、Speed Readingでは、音読では到底追いつけないようなスピードで表示される文字情報を見ていくことによって、音読からの脱却をはかります。

 最初は速すぎて読みとることが難しいかもしれませんが、次第に目が慣れてきて読めるようになってきます。

○音読のイメージ


○光読のイメージ



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